NFTゲームEpic Hero Battlesに見るNFTと盗作問題

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盗作を指摘されNFTゲームから撤退したEpic Hero Battles。NFTの盗作が問題となっています。一体NFTの世界で何が起こっているのでしょうか。
 

ブロックチェーンを利用したNFT

キャンバスに描かれたアート作品には美術的な表現の価値に加え原作はこの世にただ1つという希少性が価値を高めます。

形があるものとして著作物となり著作権が発生します。一方でWeb上に数多くあげられているアート作品には価値や権利などが曖昧であり、URLにアクセスすればダウンロードができてしまったり、容易に複製ができてしまうという点があります。現在の日本法律では、データのような形がないものに所有権(所有権は物を自由に使用・収益・処分する権利をいいます)が存在しないといわれています。

デジタルアートなどは流通性がいいといったメリットがありながらも、希少性や価値が低いものとして扱われてきた事実があります。

このような状況を変えるきっかけとなるのが、ブロックチェーンを使用したNFT作品ということになります。

ブロックチェーン技術は、唯一無二の、複製不可能である所有権を保証できるデータの作成を可能にしました。

アートやゲーム内の素材やアイテムなど、特定のデジタル資産をNFTにすることで、ブロックチェーン上で取引ができるようになったのです。 
 

Epic Hero Battlesの盗作問題概要

今回問題となったEpic Hero Battlesは仮想通貨ETH(イーサリアム)を利用したNFTゲームとなっています。プレイヤーはペットを連れた唯一のヒーローを購入することができる仕組みでした。そのヒーローを育成、バトルをしながらストーリーに沿ってクエストをクリアすることを目指す、いわゆるRPGゲームです。また他のプレイヤーと4人でパーティを組み、レイドボスを討伐することも可能です。

これが実はSteamで配信されている2Dアクションゲーム「Wildfire」にそっくりだという指摘があったのです。こちらは特にNFT要素はなく普通に遊ぶことができるゲームですが、その開発者によってアセットの盗用疑惑が明るみにでました。Twitterによってあげられた画像には、別のゲームでありながらまったく同じ背景が使用されていることが判明しました。これをきっかけにSNSユーザーによりさらに調査が進められた結果、素材のほとんどが盗作ともいえるものだったのです。Epic Hero Battlesの作者はそこからこつぜんと姿を消して雲隠れしてしまい、きちんとした謝罪や説明などもないまま製作者側の詳しい意図はわからずじまいとなっています。

本来であれば2021年11月にリリース予定でしたが、今後の復活があるのか否かは不明のままとなっています。
 

NFTの盗作問題

今回のEpic Hero Battlesにみられたような、ゲーム背景や素材の盗作ともとれる状況が色々なところで起きています。

NFTは「デジタルコンテンツを唯一無二のものにする」という点が特性だと考えられていますが、実は自分が作り、Web上にアップしたアートが後にNFT作品としてネットで売買されていることに悲しむ人や苦言を呈す人たちがいるのです。

しかしながら現状では、NFTには所有権が存在しないと考えられていますが、著作権(著作権は著作物の利用権)はあると考えられます。

本来であればNFT化されたゲームアイテムなどを購入した場合や、Web上でNFTアートを購入した場合であっても、そのゲームアイテムやアートの所有権を譲り受けたことにはならず、それらを自由に利用することはできないこととなっています。 

著作権に関しても当事者間の取り決めや合意なしにはクリエイターのもとから動くことはありません。ところが、そのあたりの規制がないために盗用のような事態が発生してしまっています。NFTは著作権や所有権を主張、検証できるものではないということです。

現状、まだまだ不安定なNFT業界は今後もさまざまな課題と直面することになると考えられます。
 

NFTの課題

NFTがより使いやすくなるためには、法の整備などが必要となってくるでしょう。例えば「デジタル所有権」などのもそのひとつです。

さまざまなデジタルコンテンツにおける所有権を証明するために必要となってくるでしょう。デジタル所有物の濫用に制御をかけることができる機能を持つため非常に有効と考えられます。世界の政府と銀行などがそれらを管理するために新しい規制や法律の枠組みの導入を検討しています。今後何年かかるかわかりませんが、「デジタル所有権」の国際法などが制定されれば、ブロックチェーンゲームやNFTアート作品、はデジタル所有権が明確となることで安全に取引が可能となるのです。

一日も早い規制法が確立することこそ、デジタル化が加速しているこの世界をより快適にすることにつながるのです。

今のこの段階でできることといえば、当事者同士での利用規約を取り決めることくらいでしょうか。所有権や著作権に関してしっかりと明記することで多少のトラブルを避けることは可能となります。また利用規約に反したものに関しては、違約金や損害賠償などを求めることができます。それが根本的な解決とはいえないため、誰にでもわかるような国際的な法の制定が今後のNFTに必要な課題といえるのです。
 

まとめ

今回のNFTゲームにおける盗作問題のように表面化したものもあれば、表沙汰にはならないような個人的なアートの転売なども起こっているNFT業界。今あらゆるところから注目を浴び、多くのNFTが取引されています。そのような中で、クリエイターやアーティスト本人、そしてその作品が守られるような法の枠組みが急がれます。誰もが安心して、世の中に作品を提供できるようなデジタル社会にするためのひとりひとりの行動も大事なことかもしれません。適切にNFTと接するために常識的な考えのもと、さらにブロックチェーン技術が新しい世界をみせてくれることに期待したいですね。

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